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ギターとベースとVOCALOIDのつれづれづれづれ
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 シャワーを浴びた彼女の体を拭き上げてゆく。時折滴る水滴が、雨に濡れた仔猫を想起させる所為だろうか、その姿は頼りなく、力を入れれば壊れてしまいそうな印象さえ与える。しかし彼女も子供ではない。緩やかな、それでいて妖しげなラインを掌に感じながら、私はいつの間にか力を入れすぎていたのかもしれない。抗議の呻きが聞こえたような気がして、ふと視線を上げる。
 他の女が隣に来たのだった。初め賑やかだったその物音も、やがて静まる。
 視線を戻す。彼女は言葉を発しない。私はあらかた水滴を拭き終え、黒く飾り気のない容器を手に取った。蝋のようなそれを塗り広げると、意外なことに、花の香りがした。だがそれも束の間、石油のような人工の匂いに包まれる。芳香と異臭の狭間で、私の脳が警告を発する。警告? 確かにそれもある。だが、私は酔い始めていた。
 シャンプーを終え、けがれを落とした体から、ほのかに花の香りを漂わせる、目の前の存在。危うさの中にあった妖しさが、ヴェールを脱いで直に訴えかけてくるような、そんな錯覚。直に触れてみたいという欲求が頭をもたげる。だが、彼女はそれを拒むだろう。私はただ、彼女の体を拭くことに専念する。分厚く柔らかな繊維の壁の向こうに、確かに主張するライン。時折急峻さを見せながらも、やはりたおやかな、膨らみとくびれの繰り返し。いつか傷を付けてしまった場所も、慈しむように、両手で撫でてゆく。
 本当はもう、私の為すべき事は終わっていたのかもしれない。しかし嗅覚から侵された私の脳は、視覚も、触覚も確かに伝わっているのにもかかわらず、なおも作業を続けるよう命じ続けていた。もっと、もっと感じていたいと、無限ループに陥ったかのように。
 その行為が、唐突に中断される。
 隣の女が出ていった。我々よりも遅く来たはずなのに、もう用を済ませたらしい。
 私は立ち上がり、彼女の肢体を眺める。もういい、と言っているように思えた。過ぎたるは及ばざるが如し、満足の向こうにそれ以上の物は無い。
 まだ酔いから醒めない神経を叩き起こし、のろのろと帰り支度を始める。長くなった互いの影が、長居をしてしまったことを知らせている。ふと、彼女が映した空を見上げた。
 強くなり始めた初夏の日差し。そのすぐ脇を、ゆっくりと灰色の雲が流れてゆく。天気予報はこんな時ばかり、恐ろしいほど正確に的中してみせるのだ。晴れは、長くは続かない。



要するに:洗車しました(短っ



 お返事お返事。
・Rokiさん
 ありがとうございます~。GW明けからずっと胃痛で参っています。これって、五が付く難病でしょうか。
 ミクさんが適乳! 恐れ入りました。師匠と呼ばせてください。

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